◆『フランスの更紗手帖』 編集・制作 PIE BOOKS
表紙の美しさにときめいた一冊
『フランスの更紗手帖』は、表紙の美しい花や鳥に一目ぼれして、思わず手に取ってしまった一冊。
更紗ーさらさーとは、木綿の生地に、植物や鳥など細やかな柄がプリントされている布のこと。
イランを発祥の地とし、インドへ伝わった後は、ヨーロッパへ広がっていった。
日本の染色、文様の文化にもずいぶん影響を与えたようだ。
いまではコットンプリントなど当たり前のように身近にある。
だが、当時は通気性の良い木綿の布だけでも珍しいのに、洗っても落ちない染料で描かれたかわいらしい柄の生地は、見る人を夢中にさせたに違いない。
シルクの正装ドレスばかり身に着けていた、かのマリーアントワネットも、更紗の生地に憧れたのだとか。
ページをめくる手がとまり、目が釘付けに
そんな素敵な模様が、どのページを開いても発見できる。
だが、ある日、パラパラとめくっていくなかで、
「嘘でしょ⁈」
と、思わずスケッチブックにかき写した柄がある。
架空の生き物「コクシグル」
1775年、綿の生地にに木版でプリントされた柄の中に、植物たちと混ざってこの3匹がいた。
3匹?…と数えてよいのだろうか。
「コクシグル(coquecigrues)」といって、
雄鶏(coq)
コウノトリ(cigogune)
ツル(gurue)
または、
雄鶏
ドクニンジン(ciguë)
ツル
の3種を組み合わせてつくられた、架空の生き物なのだそうだ。
これのどこにツルや、コウノトリの要素が…?と喉まででかかったのだが…
なんだか可愛いので、ま、いっか。
となった。
おおげさにスケッチしたんでしょー?と、お思いの方に…
どうですか?
このチカラの抜けた表情が、なんとも言えない。
架空の生き物といっても、これを生み出した当時のデザイナーや、プリント加工へGOサインを出した人の頭の中をのぞいてみたくなった。
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