◇銅版画の作る前の、作り方②-道具を自作してみよう-

道具を自分で作ってみる
6月に発行された『版画芸術』。
ほぼ版画のことだけが掲載されている、版画好きにはたまらない専門誌です。
毎号、巻末には「つくってみよう」というコーナーがあり、今回は「あったら便利そう」
と思っていた「連発ニードル」の作り方が紹介されていました。
最近は道具もなかなか高価です。身近な材料で代用できるなら、
その方法を知っておいて損はありません。
そこで今回は、誌面を参考に自作してみることにしました。


こんなに丁寧で親切なのに
それにしても、この雑誌はさすが専門誌。
版画家の先生が寄せる文章はもちろん、材料写真もとても丁寧で、「これなら(私でも)作れそう」と思わせてくれます。
……ところが、地方(田舎)に住んでいる私は、ふと立ち止まりました。
誌面に並んでいる材料は、どこで手に入るのだろう?
例えば、持ち手になる「半円棒」。
慣れている人なら、この名前を見ただけで売り場まで思い浮かぶのかもしれません。
私は最初、「細い丸棒を縦に切って作るのかな?」と、本気で考えていました。

ネットで買えばいい、と思われるでしょうけれどゆくゆく絵筆のように持てる長さや幅を確かめるには
実際に見て触ってから購入したい。
サイズ感が大事なものをネットから購入して成功した試しがない私。
ホームセンターならありそうだ、という見当はつきます。
けれど最近は、店員さんも忙しく、すぐに声をかけられるとは限りません。
「行ってから聞こう」ではなく、ある程度調べてから出かけたほうが安心です。
そこで今回は、ホームセンターへ向かう前にChatGPTに聞いてみました。すると、
・半円棒(かまぼこ型)の木材として販売されていること
・店舗によっては木材加工サービスを利用できること
・丸棒を手作業で縦に割るのは、きれいに仕上げるのが難しいこと
などを教えてくれました。

おかげで、「半円棒」を探せばよいことが分かり、ホームセンターでも迷わず材料売り場へ。
実際に売り場へ行くと、思っていた以上にさまざまなサイズの半円棒が並んでいました。


知ってしまえば当たり前のことでも、初めて挑戦する人にとっては、
こうした小さな「つまずき」が意外と大きいもの。
制作そのものだけでなく、材料をそろえるところから記録しておくことも、
これから挑戦する誰かの役に立つかもしれないと思いました。
「半円棒」って、たぶん人生で初めて口に出して唱えた気がします。
ものの名前が分からないと、ネットで調べることもできないし、お店で人に聞くこともできません。
専門誌には「半円棒」と一言書かれているだけ。
でも、その名前と存在を知るまでが、実は最初の一歩だったりするんですよね。
今回は、持ち手になる半円棒を、自分が使いやすい15cmの長さでホームセンターの方にカットしていただきました。
DIYがお好きな方や、ご自分で加工できる方なら、工具を無料で貸し出してくれる工作コーナーを利用する方法もあります。
「それくらい自分で切ればいいのに」と思われるかもしれません。
でも今回は、道具を作るための材料です。
最初からまっすぐ、きれいに切る自信がなかったので、プロの手を借りることにしました。
何本か作っていけば、「これなら自分でもできそう」という感覚もつかめるのでしょう。
でも、最初の一歩なら、頼れるところは頼ってしまえばいい。
加工費も数十円ほどでしたし、そのおかげで「切ること」ではなく、
本来やりたかった「道具を作ること」に集中することができました。
いよいよ道具づくり

さて、材料もそろったので、いよいよ『版画芸術』を見ながら道具作りです。
今回は雑誌が発行されたばかりということもあり、作り方の詳しい工程は省略します。
代わりに、自分が用意した材料や、制作途中の様子をご紹介します。


美術系に携わっている方なら、溝を作る彫刻刀は手元にあることが多いでしょう。
また、部材を固定する目玉クリップも、意外と家の引き出しを探すと見つかるかもしれません。
(目玉クリップの挟む部分の曲線がいい感じに木材を支えてくれます。ダブルクリップは留める際ズレやすいので注意)
針は、簡単なものであればドラッグストアでも手に入りますし、
使わなくなった縫い針などを転用することもできます。
こうして見てみると、専用の道具を一から買いそろえなくても、
身近な材料を組み合わせることで作れるものもあるのだな、と感じました。
こんな感じで、針の本数や並べる角度を変えながら何本か作ってみようと思います。


最後に
どんなに親切な記事でも、私のように途中で立ち止まってしまう人は、きっといると思います。
「ここが知りたかった!」
「それ、どこで売っているの?」
そんな小さな疑問を持った人の参考になればと思って、今回の制作記録を書きました。
また、「地方(田舎)」という表現で「ムムム」と、された方がいたら申しわけありません。
私の住んでいる地域にもホームセンターはありますし、個人経営の画材店もあります。
大型文具店や東急ハンズ(ワンフロアのみ)もあります。
それでも版画用の材料は需要が限られているため、売り場が小さかったり、
取り寄せから始まったりすることが少なくありません。
「身近にある」と「簡単に手に入る」は、必ずしも同じではないんですよね。
だからこそ、購入する側も、名前を調べたり、売り場を探したり、
少しずつ知識を増やしていく必要があります。
今回の記事は、そんな自分自身への戒めも込めた記録です。
これから制作道具を作ってみようという方の、小さな道しるべになれば嬉しく思います。
◇版画芸術 2016 夏号 No.212はこちらから購入できます
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https://www.abepublishing.co.jp/
余談ですが、今回の『版画芸術』では、マーケットプライスのページに拙作を掲載していただきました。
掲載されたからといって、これで万事安泰というわけではありません。
ただ、「昨日今日版画を始めた人でもないし、明日にでも制作をやめてしまう人でもない」。
そんなふうに、一人の版画家として見てもらえたような気がして、じんわりと嬉しかったのでした。






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