◆須藤萌子の銅版画解説 『王国の春』 オンライン常設展-Square-にて展示中

2022年10月7日

『王国の春』
『王国の春』

「男性をモチーフにして描かないよね」の一言

ふてぶてしいくらいに自信に満ち溢れた人を描きたい。

確か、そんな気持ちで彫っていたように思う。



「あまり男性をモチーフにして描かないよね」
と学生のころ言われたことがある。


好きなものを作るから、どうしたって偏ってしまう。

考えてみると、現実において私の今までの暮らしのシーンでは圧倒的に女性が登場の割合を占めている。

友人、家族、親戚、恩師、職場で出会った人たち。
そこそこ殿方にも出会っているのに、どうしてこう制作に反映されないのか不思議だ。


なんだかこう自分にとって、
イメージの骨格がちがうというか肉付けしにくいのである。


例えになるかはわからないけれど、私にとって女性モデルは、男性モデルはのような感じだ。

猫は模様や毛並みに変化はあれど大きさや骨格はほぼ変わらないから、
どんなポーズでもどんなシーンでも登場させることができる。

犬だともう、ダメなのである。
ダックスフントが望ましい場面に、ボルゾイを配置することはできない。

何を言っているのかわからないと思うけれど、こんな気持ちでいる。


結局、身近なモデルとして採用したのがトランプのJとKの絵札だった気がする。

ふてぶてしい顔

トランプのダイヤのJをイメージ

「王国の春」はトランプのダイヤのJをイメージした。

ちょっと陰険そうな若い王を、
身動きが取れないくらい厚手のマントをまとわせ、
マントにも背景にも、たくさん模様を描いた。

なんというか、結果、楽しかったのでありました。


最初に感想を言った知人は、言ったことさえ覚えていないだろうけれど。
今度会う時にお礼を伝えたい。

作品の購入は以下のサイトから
作品ウェブサイト

須藤萌子の銅版画、ドローイング作品を紹介するサイトです。こちらもご覧ください。
『須藤萌子 版画とドローイング』