◆名画をゆるく模写　『カーネーション、リリー、リリー、ローズ』　ジョン・シンガー・サージェント　『2022年ゆる模写カレンダー』6月

2022年6月14日2022年10月7日

名画を「ゆるく」模写して、カレンダーにしてみた

淡く、紫がかった夕暮れ時の一瞬を描く

夕暮れ時、紙の提灯に火をともす2人の少女の絵。

庭には白い百合と、ピンクのバラが茂っていて…。


サージェントは、夕暮れ時の光に包まれる数分間を描きとめるため、同じ時間帯にキャンバスを広げ、2か月間毎日描き続けたのだそう。

夏から秋の間、モチーフにしているその庭の花が絶えずあるようバラを移植したり、鉢植えのユリを新しくしたりと、周りは手配したのだそう。

モデルの子もぐったりしたのではないだろうか。


画家のこだわり、と言ってしまえばそれまでなのだけれど、

「この時間の、この場所の、この色を描き留めたい」

と強く思い、それを形にしようと自分を捧げることのできる人は稀であると思う。


よし、これだ、と見つけて掬い取れる人のほうが、

それをみて奇麗だな、と思う人よりずっと少ない。

その作家が、ひとつの作品を生み出すためにかける時間に付き合える依頼人もまた、まれだと思う。