◆名画をゆるく模写 『ひなげし』 クロード・モネ 『2022年ゆる模写カレンダー』 3月

2022年10月7日

『ひなげし』 クロード・モネ
『ひなげし』 クロード・モネ

名画を「ゆるく」模写して、カレンダーにしてみた

2022年ゆる模写カレンダー 3月

  『ひなげし

原作者 クロード・モネ

制作  1873年

所蔵  フランス、オルセー美術館

ゆるく描いた人 すどうほうこ

印象派最大の巨匠が描く世界

印象派の巨匠と言われるクロード・モネ
彼ほどに光や影を、すばやく絵筆で描きとめることのできる画家はいないでしょう。

風に揺れているひなげしの様子が、画集からでも伝わってきます。
短く、払うように筆を動かしてできる筆跡。
実際に美術館へ足を運び、彼の描く絵と対面すれば、よりその場面の光や風を感じることができるはずです。

毎年、国内のどこかで必ず会える「印象派作品」

印象派美術展
大げさに言えば毎年、国内のどこかの美術館で、必ず企画展を開いているイメージです。
国立の美術博物館へいけば、常設展でみられる作品も多いはず。


自分が初めて印象派の作品を見たのは10代の頃。

「きれいだなあ」
「明るいなあ」

素直にそう思いました。

当時は、「印象派」というものがどういうものかわからなかったです。
けれど、筆跡を残すような描き方や、全体的にクリーム色をまぜたようなやわらかな配色に憧れました。


高校生になり、
「細かく描きこまなくてもわかるのって、カッコいい」
と、思うようになり、
自分が持っていた画材で、なんとか似たような表現ができないかと、やってみたことがあります。

水彩絵の具
ポスターカラー
アクリル絵の具

そして、念願の油絵の具

しかし…
油絵の具になった瞬間
「あれ?なんか、うまくできない。」

扱う画材が、あの時代の画家たちと同じチューブ入り油絵の具になったというのに、難しい。
楽しいけど、うまくいかないという経験をしました。


その後、美術好きな身内に、
「素早い筆跡で何を描いたかわかるのは、ものの形をとらえて描く基礎力があるからだ」
と言われ、
色だけを真似して絵具をこねくり回すだけの日々は、一旦終わりを告げることになります。


その後、短く、払うように筆を動かしてできる筆跡は、
「郊外でキャンバスを広げ映ろう光をすばやくとらえるため」だとか、
「細かく描いていないようにみえるのは、資料として撮影した写真のピントのずれが描く際にそのまま反映された」とか、
技法誕生エピソードに惹かれるお年頃になっていきます。

作品を、色々な方向から楽しむことができる

自分のデッサンの基礎力は遅々として上がらないままに
「この作家は、他に何を描いていたんだろう?」
という気持ちがわいてきました。

そして、美術展のメインルームからちょっと離れたところにある作家が残したデッサン、版画なども気になるようになりました。

「あのときの、あの作家のデッサンや下描きを、もっと見ておけばよかった!」
と、惜しむくらいになっている自分がいました。

その頃に通っていた大学の絵画ゼミで教授が、
「美術作品は、それまでとその時起こっていた出来事がミルフィーユみたいに重なって生まれるもの」※
という言葉も印象的でした。
※うろ覚えです。さらにその時聴講していたはずの肝心なミルフィーユの部分は記憶にないという…。

結果的に、
「ああ、いいなあ」というヒトメボレのような気持ち。
「そうだったんだ」という興味がじんわり広がっていく体験。

この両方が合わさると、なんだか作品とよりお近づきになれたような気になります。
自分の中で、見た作品の余韻がより長くつづくような感じです。

美術館になぜ行くの?

今思うと、わたしは印象派展をきっかけに、美術館との付き合いが始まったのかもしれません。

印象派やモネに限らず、好きな作品や作家がちょっとずつ増えるのは楽しいです。
「お守り」を持つようなものかな。

自分の中のお守りの映像が不鮮明になったり、その画像が出てくるまでに時間がかかるようになったりすると、美術館に行くのかもしれません。

◇モネの作品に会いに行こう。気になった方はこちら。
・地中美術館(四国)
https://benesse-artsite.jp/art/chichu.html/

◇他の月の「ゆる模写」はこちらから
◆名画をゆるく模写 ペン画による2022年カレンダー

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◇こちらのウェブショップにて、『ゆる模写カレンダー2022』を販売しています。
にゅあんす堂
https://nuance-do.stores.jp/

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須藤萌子の銅版画、ドローイング作品を紹介するサイトです。こちらもご覧ください。
『須藤萌子 版画とドローイング』