◆しごと初め 銅版画ワークショップに向けた準備
銅版の下準備
さて、作業室もそろそろ温めていかないとなりません。
自分の個展と、ワークショップに使う、銅版の下準備をしました。
下準備が8割と言っても過言ではないでしょう。
プレートマーク作り
美術館や、ギャラリーで銅版画作品を見ると、紙と絵の境目に、少しへこみの跡がついているのに気づくでしょうか。
それを、「プレートマーク」といいます。
元版の淵を斜めに削り落としてあるのです。
プレス機で印刷するときに紙と銅版を圧着させるのですが、その際に、このプレートマークがないと、鉄のローラーが版へゴロリと乗った瞬間、紙やフェルト布が切れてしまう危険性があります。
「プレートマークをいかに美しく作るか」を念頭に置く、職人気質の作家も少なくありません。
技法書には斜め45度に削り落とす、などとあります。
わたしは…ふだんは道具や紙を傷めない程度に作っています。
わたしの作品は汚いのか?
だいぶ昔に、
「プレートマークの作り方が成っていない」
と言われたことがありました。
フチに残ったインクは汚れであるという意味合いだったと記憶しています。
当時、真意がわからず、たいそう落ち込みました。
しかも、感想を言った本人からその場で受け取ったならまだしも、作品発表後、人づてに聞くという、一番どうしようもない伝わり方でした。
理にかなった作業の痕跡
おずおずと年配の作家さんや、母校の先生に打ち明けたところ
「そーいうのは、技術が伴えばこれからいくらでも作っていけるわよ」
「世界の色んな作家を見ると、ピシッとしてる人もいれば、そんなのお構いなしという人もいる。」
「ガハハハッ、気にしなさんな」
とアドバイスされました。
だが、わたしは薄々気づいていました。
ガハハハッ、気にするな!とおっしゃった作家さんや先生はどの方も、ピシッとした仕事をする世界の人だということを。
インクや紙などこの世に限りある素材や、プレス機やフェルトなど、長く使いたい道具のことを考えれば、プレートマークを美しく作るということは大事なこと。
決して作り手のナンセンスな「拘りーこだわりー」ではなくて、理にかなった作業の痕跡なのだと思います。
あと、技法と全く関係ないのですが
感想はその場で。
できる限り本人へ。
は長く私の教訓となっています。
これからしばらく、午前中の暖かい時間帯は、ひたすらプレートマーク作りです。
※マスクを外しても良い世の中になったら、またプレートマーク作りから体験して欲しいですが。
いかんせん慣れないと、ひーふーひーふー、息が上がったり詰まったりする作業でして。
今はその体験は割愛しています。
須藤萌子の銅版画、ドローイング作品、ワークショップイベントを紹介するサイトです。
こちらもご覧ください。
https://sudohoko2016.wixsite.com/sudohoko
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