◆「よし、買う方向で。」図書館で本を1冊借りたその後…。
図書館での試練
![](https://i0.wp.com/sudohoko.com/wp-content/uploads/2021/02/daniel-zjV8ptYgcEo-unsplash.jpg?resize=450%2C300&ssl=1)
今まで、タイトルや本の装丁が気になると、たとえ短編集でも順番を無視して借りていた。
そんな私に、試練がふりかかった。
「誰かが、この短編集を順番に借りている。」
と気づくのに、時間はかからなかった。
短編集1が抜けていた。
「誰かがこの本を気に入って、借りている!」
見返しに貼られている小さな茶色い封筒から図書カードを引き抜く。
自分の名前の近くに鉛筆で書かれた名前を見て、ときめきが湧く…
ということであれば良かったのだが、時代は令和である。
図書カードは紙製ではない。
図書カードは磁気性の自分持ちだ。
個人情報は「絶対守るもん」である。
誰が借りたかなんて絶対にわからない。
そんなことよりも、気になったのは
「これで、わたしが2を借りてしまうと、タイミング的にまずいのではないだろうか。」
ということだった。
まずさ、というかこの場合は気まずさだろうか。
でも、続きものではないわけだし、「まあ、いっか」と短編集2を借りた。
見知らぬ人との和睦
![](https://i0.wp.com/sudohoko.com/wp-content/uploads/2021/02/kalisa-veer-jnTmteFp294-unsplash.jpg?resize=488%2C326&ssl=1)
2週間後。
短編集2を読み終わり、図書館へ返却に行く。(私は読むのが遅い)
すると、短編集3が棚からなくなっていた。
「2がないから3へ飛んだのか?」
とたんに気まずくなった。
順番に読んでいった彼の人の思いが、静かに冷めていったらどうしよう。
この本を作った編集の方たちは、きっと
「物語のまとまり」とか、
「流れ」とか、
「著者の執筆年代」とか
を気遣って編集したかもしれない。
飛ばすことなど、考えられないことだったのかもしれない。
すくなくとも、彼の人にとっては。
なにせ自粛期間中である。
妄想の規模も、想像力の無駄遣いっぷりも大きいのだ。
ここで4を借りる気持ちにはなれない。
わたしは、見知らぬ人との和睦をイメージしながら短編集1を借りた。
短編集、お買い上げ
![](https://i0.wp.com/sudohoko.com/wp-content/uploads/2021/02/library-3679745_640.jpg?resize=479%2C318&ssl=1)
その後、順番に借りて短編集すべてを読み終わると本屋へ直行し、短編集全巻を注文してしまった。
本をまとめて買うなんて、何年ぶりだろう。
新しい本独特の、表紙を開くときの音。
真ん中あたりに、「し」の字に栞の跡がついたページ。
そして
「お前、こんな色してたのか。」
というツヤツヤの栞。
図書館の栞は、色あせて擦り切れ始めているのもあった。
それでも
「今まで借りてきた見知らぬ人たち」
「司書の方たち」
「丁寧に本を扱ってきたひとたち」
がいるから、
私はこの本と出会えたのだ。
◇最近気になる本屋さん(自分が住む町の本屋さんは貴重なのだ)
HiBARI BOOKS&COFFEE
ひばりブックス
https://hibari-books.com/
◇前から気になる本屋さん(いつもどおり、の空気感を大切にしてくれる場所は貴重なのだ)
水曜文庫
https://www.kosho.or.jp/abouts/?id=22000750
須藤萌子の銅版画、ドローイング作品、ワークショップイベントを紹介するサイトです。
こちらもご覧ください。
https://sudohoko2016.wixsite.com/sudohoko
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