◆【2021・セルフインタビュー】作家が記録 2

2022年2月11日

いつもどおりが、いつも難しい

-コロナ禍では、家でどう過ごしていましたか?

-制作は、ふつうに、いつもどおりにしていました。
買い足す画材はそんなになかったのですが、どうしても必要なもの(2020年は版画用紙くらいかな)は、
日数の余裕をもって注文して、届くのが遅れても「ま、そうだよね」くらいに思うようにしていました。
生産中止になった画材があったのは残念でしたけれど。
配送においては実際、遅れるということは1度もなく、画材店や配送業者の方々へは日々、頭の下がる思いでした。

ほかには、作家が申し込める補助申請をしつつ、銅版画の体験ワークショップや個展などを開催するにあたっては、会場のオーナーさんと常に連絡を取っていました。
見知った仲でも、いつもと違う特殊な状況で、お互いがどう考えているのか、確認は大事です。
もちろん、家族も例外ではありません。
必要最低限のニュースを見て「どれが信頼足り得るものか」話をしました。

何も影響されていないと言いつつ、今思い返してみると、ちょっとうんざりしていたと思います。
それは、今の状況を、急ごしらえの言葉で名付けていくだけの日々に対してです。
あと、「芸術は不要不急なんかじゃないぞ」て怒っていました。
だからと言って、何かを否定したり、今の状況だけを如実に表したりする作品は作りませんでした。

「手探りで、少しずつ良い方へ進んでいくぞ」という気持ち

-コロナ禍でのご自身の制作活動についてもう少し具体的に教えて下さい。

-ワークショップは開催する場所のオーナーさんと相談して日時を決めていました。
ふだんから少人数・予約制であったのと、参加者さんと良いコミュニケーションを取って、一緒にうまく乗り越えてきたと思います。

-個展については、市内と、県外(東京)でお世話になっているギャラリーが、よほどの時以外は休むことなく運営しているところで、双方とも「やりましょう」と言ってくれたのはありがたかったです。
2020年は、緊急事態宣言明け最初の展示になり、いつも以上に印象深い個展となりました。

翌年も、同市内のギャラリーで個展を開きましたが、前年よりもギャラリーへ立ち寄る方は少し増えたな、という印象です。
こんな状況でも、作品を求めて見に来てくれる人がいるというのは励みになりました。
都内での個展は開催時期をずらしてもらいました。
案内状も迷いましたが、「私は元気です」という気持ちで出すつもりです。
ちょうどその頃から、他のギャラリーや美術館も色々工夫して運営を再開し始めていました。

みんな手探りで、少しずつ良い方向へ進んでいくぞ、という気持ちが伝わってきました。
今後、自分も、何かできる範囲で作品発表の場を確保したい、と考えるようになりました。

次回、【2022・セルフインタビュー】作家が記録 3 オンライン展と予約制ギャラリー


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『須藤萌子 版画とドローイング』