◆漂着するものへのまなざし
漂着し晒されたものが、再び意味を持つものになれる。
そのデザイナーの手と、まなざしにすくわれたのなら。
大滝正明(オオタキマサハル)さんの個展へ行ったときのこと。
大滝さんとの話は、筆談になることが多い。
会話には、常にペンや鉛筆を紙に走らせる音がいっしょ。
それが、わたしには心地よい。
いまでも時々ひとりで何か書いていると、その音とともにふと浮かび上がる言葉がある。
かつて大滝さんからでた言葉。
「これからは言葉の展示」。
「個人美術館が生まれる」。
「持ち運べる美術館」を作る。
当時近所ではめずらしい予約制ギャラリーなどをとりいれるなどしていて、まるで今を見据えていたようで、ちょっと驚いている。
現代において、こちらが苦しくなるほど無数にある色や形やパフォーマンスから、救いだしてくれる人。
それが大滝さんなのです。
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