◆『おもたせしました』全3巻 うめ(小沢高広 妹尾朝子) 新潮社
【内容は伏せて表紙のみを紹介するブックカバーチャレンジ】
友人が教えてくれた漫画の話
私には、おもしろい漫画と美味しいお菓子を教えてくれる、密かに「ソムリエ」と呼んでいる友人がいる。
そのチョイス、オススメの仕方が毎度絶妙なのだ。
教えてもらった後は『やられたー』『おいしかったー!』となる。
2年に1回くらい、そのソムリエ氏と会って漫画やお菓子の感想を言いあうのが楽しいんですよねー。
そんななかでも、教えてもらった漫画『おもたせしました』全3巻 を読むと、かつて自分が手土産で苦労した思い出がよみがえる。
-撲滅!手土産クライシス-
手土産を相手へお渡しするとき、どんな言葉をそえますか。
ググったり、秘書の手土産コラムあたりを読めばいくらでも出てきそうだが…。
今回は、わたしの体験を話します。
以前、目上のかた(60代)とのお話していたときのこと。
「いただいた身でこんなこと言うのもなんだけど、最近の若いかたはお渡しするとき『これ美味しいですよ』
と添えるのでびっくりした」
と聞いて、びっくりした。
わたし、そんな言葉、添えられた記憶がない。
そりゃそうである。
そもそも、そんな繊細でなし、お付き合いも少ない。
ゆえに、いただく機会も圧倒的に少ない。
いただいたら中身に「全集中」なのだから。
めずらしく引っかかったので、ここは年の功、親に聞くと
「そうねえ。目上の方へのお渡しなら
『お口汚しですが』とか、
『お口に合うか分かりませんが』
がスタンダードなのかしら。」とのこと。
なんだか、聞きなれないぞーと思いつつ、いただいた側になって妄想してみた。
…とくに気にならない。
スタンダードになるくらい生き残ってきた言葉って、「相手が聞いていてひっかからない、気にならないもの」なのだろうか。
じゃあ、言わなくてもよくない?とはならない。
ないならないで、ひっかかってしまう。
ああ、ムズカしい。
「これ美味しいですよ」と言った若い方だって、だんだん言葉のレパートリーが増えていけば、相手や場所によって使いわけるようになるのかもしれない。
きっと、一度自分で食べて美味しかったから選んでくれたのだ。
「美味しいですよ」
「あら~、召し上がったこと?」
「いえ、美味しいって有名なとこだったんで」
「………。」(妄想中)
うん。
わたしは、当分「お口に合うか分かりませんが」でいこう。
わたしは、以前、お渡ししたお菓子を目の前で食べてくださった先生から「これは工場で作っている、何々の某は、昔もっと美味しかった」て言われたことがあった。
気持ちは汲む!だが美味しくない!を、ハッキリ諭されたわけだ。
流石に重なると万策尽きて、その先生のお宅へ伺うときは
「近所のスーパー(またはコンビニ)で買いました!」
て持っていったことも。
それが、その先生にはウケたので、もうホントに手土産ワカンナイ。
そんなこと言う人の処へは行かなきゃいい、と思うでしょ。
わたしもそう思う。
でも、これらのしょっぱい体験が、この『おもたせしました 全3巻』を一層味わい深いものにしてくれる。
手土産は、何を渡せばではなく、どんな気持ちで探して、選ぶのかが大切だということを教えてくれる。
とても美味しくて、嬉しくなる漫画である。
『おもたせしました』全3巻
うめ(小沢高広 妹尾朝子)
新潮社
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