◆『絵のない絵本』 アンデルセン(著)・山室静(訳)・いわさきちひろ(挿し絵)童心社

2022年2月8日

「宿題ね」と渡された1冊に、アレ?コレジャナイ感

師匠から

「宿題ね」

と時々本を貸し出される。
※師匠については以前のブログに書きました。

今回は絵本だ。

アンデルセン童話「絵のない絵本」
大塚雄三(訳)・オルセン(挿絵)福音館書店


え、間に合ってますー。

と思う前に借りてしまう。

今の時代、自分が得るであろう結果に納得して摂取すること以外は
「強制だ」
「侵害だ」

となって拒否することもできましょうが、できない。

以前より、だいぶ健康になって、気力や余裕も戻ってきたのか、

そんなの適当に流し読みして、一定期間を過ぎたら返せばいいのでは。

とも思う。

しかし、ここから

〈師匠〉「読んだか?どうだった?」
と来た時に

〈わたし〉「読んでない。だめでした。」
となるのは目に見えている。
ともあれ読み始めました。

結果

「コレジャナイ感」が残る。

なぜ?

とても素敵な絵本だったのに。
福音館書店さん、訳者さん、さし絵画家さん、ごめんなさい。

違和感のもとを突き止める

「絵のない絵本」は10代のころ読んだ記憶にあった。

家にあったこの本のさし絵はたしか、いわさきちひろ
全ページが、モノクロ挿絵で鉛筆で描いたような、今まで知らなかった彼女の
世界を垣間見た思い出がある。
「なんか、このひとの絵、キレイなだけじゃないかもしんない。」
と衝撃だった。

市内の古本屋さんを巡って見つけた運命の1冊

違和感のもとをつきとめたいー。

実家に電話をして確認したところ、実家にある本のさし絵は、いわさきちひろで間違いなかった。
そして訳者は山室静
(ムーミンシリーズの訳をされている方なのでピンと来た方いるかも。)

もともと、その本は母の蔵書。
刊行された時代的に、言い回しがちょっと独特だった。
そっけなさというか、異国めいた乾きや、別世界の湿り気を、こども心ながら気に入って読んでいたのかも。

さあ、
こうなると

今度はその本が読みたくなる。
欲しくなる。
外出の折、気にしながら今住んでいる町なかの古本屋さんを巡ると…。

嘘みたいな話ですが、出会いました。

しかもハードカバー。

そっと、ページを開いて数行読んだ瞬間、

「これだーーーー!」

となった。
長かった…。

銀色の表紙。
この訳、この絵で読みたかった。

地元の本屋を大切に

母の持ち物は文庫本でしたので、同じ本でも絵の配置がきっと変わるでしょう。
今度持ちよって、ふたりで読み比べてみるのも楽しいかも。

多少のヤケや、カバー部分の角に凹みはあるものの、まったく問題ない。
この本がわたしの手もとに来る前の持ち主は、きっと大事に扱っていたのだろうなあ。

本に関してはまず、地元から探そうと小さく決意した日であった。

作品ウェブサイト

須藤萌子の銅版画、ドローイング作品を紹介するサイトです。
こちらもご覧ください。
https://sudohoko2016.wixsite.com/sudohoko

書評

Posted by suho