◆『世界のクラウンジュエル』(編著)パイ インターナショナル

2021年2月24日

圧倒的キラキラ

『世界のクラウンジュエル』(編著)パイ インターナショナル
世界の王冠がずらり

表紙を見て足が止まった。

うっとりというか、飴玉よりも大きい宝石をつけた冠の写真に度肝を抜かれた。
はっきり言って、表紙でいきなり感動のピークを迎えてしまった。

本著によると、クラウンジュエル(Croun jewels)、レガリア(Pegalia)は、王冠に代表される、王や君主を象徴する宝飾品のことをいうそうだ。

宝石、金、動物の毛皮、羽など素材は様々に、その時代、国にできた最高の贅沢が詰まっている。
ページをめくれば、どの国の王冠も圧倒的にキラキラである。
まるで、おとぎ話の絵本にでてきそうなものばかり。

というか、そうか。
君たちが、おとぎ話にでてきた王冠たちの祖であったか。


疲れたときに欲しくなるキラキラ

以前、友人が「仕事に疲れてくると、目に美しいものを写したくなってくるのだ」と言っていたのを思い出した。
確かに最近、わたしも無性に美術館の宝飾展で、宝石や金蒔絵を見たくなるときがある。
所持したいというよりも、圧倒的キラキラを浴びにいく感じ。
それは、寺で線香の煙を頭に受けたくなる感覚と似ている。
以前なら「けばけばしくない?」と斜に構えていたのに。

よせばいいのに、思い出しついでに思い出してしまった。
何かのエッセイで女性作家が
「年を重ねて、香水をつけることを厭わなくなるのは、自分からいい匂いがしなくなったからかもね
という若さを懐かしむような内容だ。

10代の頃、むせ返るような化粧品の匂いに辟易したデパートのコスメフロアも、今ではなんだか平気になってしまっている自分がいる。
オトナになっ(てだいぶ経っ)たのだ、と思っていたが…
疲れて嗅覚や生命力が衰えているのだろうか。

そういえば、
香水やビジューやスパンコールや刺繍のがっつりはいった服を纏った目上の人で、弱々しい方というのをかつて見たことがない。
あれは、一種の王冠…いや鎧かもしれない。

ともあれ、キラキラしているものを欲する原因が、すべて疲れからくるのかはわからないが、美しいものを見て気持ちを奮い立たせたり、落ち着かせたりするのは大賛成である。

この本を今度プレゼントしてみようか。

作品ウェブサイト

須藤萌子の銅版画、ドローイング作品、ワークショップイベントを紹介するサイトです。
こちらもご覧ください。
https://sudohoko2016.wixsite.com/sudohoko

書評

Posted by suho