◆画廊・ギャラリーめぐり 「欲しい!が見つかる」


以前、ギャラリーや画廊めぐりについての記事を投稿しました。

◆画廊・ギャラリーめぐり 「好き!が見つかる」
https://sudohoko.com/post-55/

◆画廊・ギャラリーめぐり 「その入りづらい理由とは」

https://sudohoko.com/post-47/

今回は、これらにもう少し補足してみます。



突然ですが、
 あなたはギャラリー(または画廊)へ行き、作品を買ったことはありますか?


ギャラリーは、観覧料がわかりやすく提示される美術館と違い、
 「入りづらい。」
と思っている方がいるかもしれません。

 「入るのはタダかもしれないけれど作品を買わないといけないのかな?」
というイメージが、そうさせてしまうかもしれないですね。

でも、いざ尋ねてみたら良かった。
買ってみたらもっと良かった。

という、自分の体験をお話します。

展示する側、観る側、買う側、両方体験してから、以前書いたブログでは、
うまく言葉にできなかったことを付け足してお話します。

※画廊、ギャラリー、の呼称はすべて「ギャラリー」とします。

ギャラリー(画廊)では、作家の作品が「買える」

まず、ここでは投資目的や、所持していることへの価値など、
「この作品を買うべき」というものは購入理由に入れないでおきましょう。

私自身が、そういう目的で買ったことがないからです。
そういう買い方も作家やアートの世界を動かしているひとつであるんだろうな、くらいにしておきましょう。



ギャラリーと美術館との最大の違いは、

 「目の前の作品を買うことができる」

 「自分のものにできる

ということでしょうか。

見つけたときめきと、つけられた価格に対して、自分のお財布事情等相談しながら悶々とするのも一興です。
(あくまでここでは自分のお財布事情で買える範囲のものの話です。。。)

こう書くと、普段の買い物と似ている部分がありますよね。

 「好きなものをみつけた」

 「欲しいと思う」

 「だから買う」

 「思わなければ買わない

を頭に浮かべれば、ギャラリー巡りも少しは怖くなくなるのかなと思います。

ギャラリー側から「買え」という圧を感じた方、いると思います。

そもそも「買わない」という気持ちをまとっている方はギャラリーは(作家も)ある程度わかります。
でも、終始そんな雰囲気のギャラリーでは、気まずさでまずお客さんより先に作家が蒸発しかねません。

どうしたらいいのでしょうか。

こう考えてください。

ギャラリー側は、古参のアートオタクです。
いわゆるガチ勢といいましょうか。

ギャラリーは、今、企画している展示作家のトップファンとしてあなたの目の前にいるのです。
(ますます物怖じするじゃないか。は置いといて。)

自分の推しを好きになってもらいたい、応援してほしい、沼に落ちてもらいたい、
と切望がにじみ出ているのです。

沼へ背中を押す力加減はギャラリーによって違うので、なんとも言えないのですが。
どういう推し方※をしているのかを見れば、ギャラリーを見る目も変わってくるのでは、と思います。
※貸しスペースとしてのギャラリーですと、借りた作家へは規約に沿ってフェアに接している場合も多いので
なんともいえないのですが、お客には関係ないのでお気になさらず。

わたしは社会に出てアルバイトや仕事でお給料を得たり、自分の作品が売れてお金を得たりした頃から、「買ってほしい圧」というものは別に普通だと思うようになりました。

むしろ、
 「売れなくてもいい」「買えないでしょ?」
みたいな雰囲気のほうが底が見えなくて怖いと思います。

20代の頃、(その時は美術品ではなくて洋服だったのですが)百貨店で、お店の人に「あなたのお給料じゃ買えない」と言われた経験がありました。

10年経ってふと思い出したので、当時の勤め先にいた気さくな先輩に話したら、
 「どんな価格であれ、人のお財布をのぞき込むような接客は絶対にしてはだめなのだけどね」
と言われ、
なるほどあの時の情けなくなった気持ちって
 「財布をのぞき込まれた嫌悪感」
もあったのか、と納得しました。

今の自分にあったギャラリーを見つけるのも楽しい

ヒトメボレした流木をつかったオブジェ

ギャラリースタッフにべったり張り付かれるのも嫌なものですが、
逆に、お掃除ロボットのようにウロウロされたり、
作家や作品の紹介もせずに奥に引っ込んでいる(ように見える)ギャラリーだってあります。

今まで、客として尋ねたギャラリーが少ないのでなんともいえないのですが、
 「ここが大正解、王道だ」というギャラリー、
私は未だに発見できていません。

だってギャラリー側から見れば全部正解なんだもの。

でも、自分にとって良いギャラリーって、作家、お客さん、ギャラリーとの距離感で決まっていく気がします。

誰もいないし、話しかけにも来ないギャラリーであっても、バックヤードから「あ、見守られてるな」と感じると、良い距離感だなと思います。

訪れるお客さんを横目でチラリと盗み見ても
 
 「作家を推してるな」

 「作品に惚れてるな」

 「健康のためのお散歩コースにしてるな」

 「作家さんのお友達なのかな」

 「ギャラリー(オーナーが名物店長みたくなってる)そのものに愛着があるんだな」

と、お客さんも様々です。

値段に関係なく、1回でも自分のお財布を開いて作品を買うと、
不思議に今まで気づかなったギャラリー巡りの面白さが見えてくる。

作品を買うと、作品そのものへの愛着と同時に作家への応援度が高まる。

だけでなく…
その街のギャラリーを、あなた自身が育てていることにもつながっていくのです。

前のブログで「見せてください」とまず挨拶をすればいいと書いたのですが、
こういえば何も買わずに見ることができる、という免罪符の意味ではないんですよね。

欲しいものがあれば、その挨拶の先の言葉が出てくる。

欲しいものを見つけ(てしまっ)たときの気持ちに、背中を押してくれるのがギャラリーです。

背中の押し方は星の数ほどあるということ。

ちょっと怖さ、紛れましたでしょうか?