◆オンライン展 銅版画『アラビアンナイト』

2022年2月8日

こちらのブログでは、春のオンライン展作品たちのエピソードを、当時の制作の事を思い出しながら記録していきます。

物語への熱気?きらめく煙が、夜の砂漠を包み込むイメージの銅版画

銅版画『アラビアンナイト』
アラビアンナイト

『アラビアンナイト』は、2008年に制作しました。
鉄筆で、銅板の表面を削るようにゆっくりと描いていく感触が楽しくて仕方がなかったころの作品です。

鉄筆(ニードル)で銅板の表面を彫る様子

「アラビアンナイト」の版を制作している画像がなくて・・・。
代わりの画像に、過去の作品の拡大部分を載せます。
鉄筆(ニードル)を鉛筆のように持って、描くように引っかいていきます。

この、彫っていくと銅の表面がキラキラ光って見えてくるのが楽しく、ずーっと彫ってしまいそうになります。

実際は、1001夜もなかった? お話が足されていった経緯とは

アラビアンナイト、というと「アラジンと魔法のランプ」や「アリババと40人の盗賊」などのお話が思い浮かびます。
わたしは小さい頃、夢中になった思い出があります。
馬場のぼるさんが描く、エギソチックな挿絵の「アリババと40人の盗賊」がお気に入りで、何度も読みましたっけ。

しかし「アラジンと魔法のランプ」や「アリババと40人の盗賊」など、誰もが親しみを覚えるこのお話は、原型である説話集「千夜一夜物語」から足されたものだと知った時は、びっくりしました。
実際のお話は1001どころか、280ちょっとくらい。

イスラム圏からヨーロッパ圏に、千夜一夜物語が入ってきたときに、

千一夜物語」というからには、1001話ないとおかしいだろう。

と、次々にお話が足されていったのだそうです。

違う、そうじゃない
たぶん「千一」って、「たくさんの物語」っていう意味合いだったのでは。


そもそもアラビアンナイトってどういう話だっけ?


妻の不貞が原因で女性不信になってしまった王様が、自分を裏切らないように一夜を共にした女性の首を翌朝にはねてしまう。
そのせいで、国中の若い女性が激減して困ったな。
…というところからこの物語は始まります。

相当なワンナイトメア。

王に見染められたその国の乙女たちは、いい迷惑です。
「断っても即死」
「言う事聞いても翌朝死」
なのだから。
そんな王様の悪癖(?)を止めるため、シェヘラザードが名乗り出て嫁ぎに行くという話。

280話でも毎晩王様へお話するなんて、神経すり減るなー…。

と、気が遠くなりました。

シェヘラザードのプレゼン能力を見習いたいところです。

版画「アラビアンナイト」部分
版画「アラビアンナイト」部分

◆11匹の猫で有名な、馬場のぼるさんのアラビアンナイトが気になった方はこちら
アリババと40人の盗賊 (馬場のぼるの絵本)

作品ウェブサイト

須藤萌子の銅版画、ドローイング作品、ワークショップイベントを紹介するサイトです。
こちらもご覧ください。
https://sudohoko2016.wixsite.com/sudohoko