◆トラウマ吹っ飛ぶ一冊 『罪と罰を読まない』
ドストエフスキー読んだことある?
芸術作家さんたちの集まりの場だったと記憶している。
オープニングパーティー(展示会初日をお祝いするためのちょっとした軽食会みたいなの)へ
参加していたわたしは、お祝いに来ていた目上の作家さんのお話を聞いていた。
作家として、創作の糧を得るにはいかんとするか的な話になった時に
「ドストエフスキー読んだことある?」
と聞かれたのだ。
今なら断言できる。
どんな名著をもってしても、お酒の入ったあの席で、あの会話の流れ。
かなり高い確率で本嫌いになるということを避けられない、と。
わたしは目上の人との会話が止まるのが怖い。
当時はまだいたいけなピヨピヨだった。
今はただのピヨピヨだが。
読んでいなかったことが無性に申し訳なく感じて
「読んだことないですー」とエへへへ~
と、笑ってごまかしていた。
しかし、日が経つにつれて
「ドストエフスキーも読んだことがないなんて」
と、言われた気がして
「読んでいないのは罪なのか!罰なのか!読みたくない、もう読むものか!」
という気持ちが、不穏な雨雲のようにモカモカと広がってしまい、幾年か経ってしまった。
そんなトラウマ?を吹っ飛ばしてくれた一冊
!!! 『罪と罰を読まない』 !!!
当時、静岡市葵ビル内の戸田書店さんで見つけたこの本のタイトルを見たときの衝撃たるや。
あの酒の席が蘇る。
モカモカ雨雲が蘇る。
「居たよ!ここに!」
とタイトルのみで勝手に共感して、その本を胸に抱きレジへ直行した。
岸本佐知子さん・三浦しをんさん・吉田篤弘さん・吉田浩美さんが集まって、「ドストエフスキーの罪と罰を読んでいないこと」前提に話が進んでいく話なのだが…
いいの?
読んでないっていう、そこからでもいいの?
面白そう!
と思った。
この4人(正確には5人?かな。巻末に矢部太郎さんが漫画で参戦しています。)で面白くならないはずない。
結果、わたしはその後、ドストエフスキー著「罪と罰」も読んだ。
内容は、面白おかしいものでは決してないのだが、なによりも「読むこと」がとても楽しかった。
本を読むって、楽しいことだったと思い出す事ができた。
4年に1度でもいい。この5人で「読まない」シリーズ化しないかな…。
「罪と罰を読まない」
岸本佐知子・三浦しをん・吉田篤弘・吉田浩美(共著)
矢部太郎(巻末)
文春文庫
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『罪と罰』を読まない (文春文庫)
この5人の作家さんを「もっと知りたい」と思ったきっかけとなった本。
◆岸本佐知子おすすめ
セミ
◆三浦しをんおすすめ
月魚 (角川文庫)
◆クラフトエヴィング商會おすすめ
じつは、わたくしこういうものです (文春文庫)
◆矢部太郎おすすめ
大家さんと僕
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