◆【セルフインタビュー】作家が記録 4

2025年1月31日

《これから作品を発表する人へ》
作品に対する評価を受けいれる方法

ー作品への評価が、自分と他人で異なる時どうしますか?

ーどうしましょう…。
大学の卒業・修了展での発表を最後に、あまり気にし過ぎないようになりました。
それまでは、個展や公募展の結果に対して、一喜一憂していた時期もありました。
今は「聴く。」「聴かない。」の両方できるように心がけています。

ー在廊中も同じ態度で鑑賞者へ接していますか?

ー画廊やギャラリー※で作品を発表している期間中に、作家本人が滞在することを「在廊」と呼びます。
事前に在廊する日が決まっていると、その日を目指してお見えになる方もいらっしゃいます。
個展では、作品に対しての質問のみ、こちらが必要と感じたら話すようにしています。
※以下、ギャラリーも「画廊」表記で統一します。

シンプルな展示にとまどう?

ー作品のガイドはしない、ということでしょうか?

展示のスタイルは、作家と画廊の数だけ存在します。
作品のそばにタイトルや価格の他に、くわしい説明を追記して掲載するかどうかは、作家や画廊にゆだねられます。
私の展示は個人的に、作品を説明するキャプションはシンプルなものが多いです。
けれども、そのぶん画廊主や作家が、作品とお客様を繋げる工夫をしています。

公共の美術博物館や、教育施設のように
 「○○ができるまで」のような工程やコンセプト、技法を記したもの、
 作家の人となりを記した年表など、
わかるための手がかりを始めから求めて鑑賞しようとする方は、戸惑うかもしれません。

シンプルな空間に作品が並べられ、更に作家が地縛霊のように隅に突っ立ってこっちを見ているー。
慣れない人にとって、これほど怖い状況はないでしょう(笑)
色々聞きたくなってしまう気持ちもわかります。
画廊の過ごし方については、また別の機会にお話します。

話を、評価をどう受け入れるかに戻します。
人によって評価が異なるのは当たり前のことだと思います。
よく混同されがちですが、「評価」「感想」は違うものです。

発表期間中に受け取るのは、ほとんど「感想」です。
言葉にしなくても、
 作品の前で鑑賞者のしばらく足が止まったり、
 作品に近づいたり、
 首を縦や横に振ったりする反応も、
感想だと思っています。

作家の在廊について

ー作家は、生きていたら個展期間中は在廊するべきだと思いますか?

ー これは作家やギャラリーの意向で様々だと思います。
私の場合、在廊の有無や日時は、展示をする画廊のオーナーと相談して決めています。
在廊すると、様々な人たちが、作品との間を行き交うのを肌で感じることができます。
また、作品を求めた方へ、顔を見てその場でお礼の挨拶ができるのは嬉しいことです。

作家在廊の有無が、展示に影響するかどうかは、作家や作品、画廊によって様々です。
多すぎる案内キャプションと一緒で、
 「作家が居ないほうが鑑賞や購入の判断ができる。」
…という方もいるかもしれませんから。

ー「これは感想でなく評価だ」と判断できる一番わかりやすいものは何だと思いますか?

ー難しいですね。
いちばんシンプルでわかりやすい評価のひとつは、作品が売れること、でしょうか。

いままで作品を求めてくださった方は「感想」と「評価」を混ぜこぜにして話し出す人はありませんでした。
言葉で評価をすることって、それを生業にしている人でない限り、簡単にできないものだと思っています。
仕事にしている人なら猶更、いきなり目の前で話し出す人はいません。
作家は他者からの感想や評価に関係なく、自分の作品の型(スタイル)ができるまで、
膨大な時間をかけて作品を生み出している。
作品を生み出していく中で、評価を受ける機会というのは、必然的に限られてくると思います。

自分の「つくりたい」という声を聞いてあげて!


ー作品を見に来る人のなかには、厳しい、意地悪な物言いをする人がいるのでは?

ー厳しいというのは、意地悪とは違います。
納得できなかった物事は記録しておいて、次の個展までに内省しておく。
きちんとした評価なり感想を交わした方とは、再会する可能性が高いからです。

でも、まずは自分の
 「これをつくりたい!」
という声を聞いてあげることが、一番大切な気がします。

作家は自分の「つくりたい」という気持ちを掬いあげながら、作品を作っていくものだと思っています。
最初の質問に対しての答えで、評価を「聴く。」「聴かない。」の両方ができるように心がけているというのは、こういう理由からです。

大抵の人は、作品と、見ている自分自身と対話してその場を出ていくので、静かです。
コンセプトや技法の話も、学校の授業や、どこかのお教室の生徒さんでもない限り聞いてくる方は少ないです。
最近は、一方的に技法や自分の好きな作家や、専門的な用語をあげて、こちらがおどおどするのを見て帰っていく(売れない作家に何を言っても許されるとでも思っているのか?)という人は減りました。

ーなぜ減ったと思いますか?

ーこちらも相手を鑑賞している、から?

次回 作家が記録 5-自分と周りとその間のこと

作品ウェブサイト

須藤萌子の銅版画、ドローイング作品を紹介するサイトです。
こちらもご覧ください。
https://sudohoko2016.wixsite.com/sudohoko