◆【セルフインタビュー】作家が記録 4
《これから作品を発表する人へ》
作品に対する評価を受けいれる方法
ー作品への評価が、自分と他人で異なる時どうしますか?
ーどうしましょう…。
大学の卒業・修了展での発表を最後に、あまり気にし過ぎないようになりました。
それまでは、個展や公募展の結果に対して、一喜一憂していた時期もありました。
今は評価を「聴く。」「聴かない。」の両方するように心がけています。
ー在廊中も同じ態度で鑑賞者へ接していますか?
ー画廊やギャラリー※で作品を発表している期間中に、作家本人が滞在することを「在廊」と呼びます。
事前に在廊する日が決まっていると、その日を目指してお見えになる方もいらっしゃいます。
個展では、作品に対しての質問のみ、こちらが必要と感じたら話すようにしています。
※以下、ギャラリーも「画廊」表記で統一します。
ー作品のガイドはしない、ということでしょうか?
展示のスタイルは、作家と画廊の数だけ存在します。
作品のそばにタイトルや価格の他に、くわしい説明を追記して掲載するかどうかは、作家や画廊にゆだねられます。
個人的に、作品を説明するガイドやキャプションは、シンプルなものが多いです。
けれども、そのぶん、画廊主や作家が、作品とお客様を繋げる工夫をしています。
公共の美術博物館や、教育施設のように
「○○ができるまで」のような工程やコンセプト、技法を記したもの、
作家の人となりを記した年表など、
わかるための手がかりを始めから求めて鑑賞しようとすると、戸惑う方もいるでしょう。
シンプルな空間に作品が並べられて、作家が隅に突っ立ってこっちを見ているー。
慣れない人にとって、これほど怖い状況はないでしょう(笑)
色々聞きたくなる気持ちもわかります。
画廊の過ごし方については、また別の機会にお話します。
話を、評価をどう受け入れるかに戻します。
人によって評価が異なるのは当たり前のことだと思います。
よく混同されがちですが、「評価」と「感想」は違うものです。
発表期間中に受け取るのは、ほとんど「感想」です。
言葉にしなくても、
作品の前で鑑賞者のしばらく足が止まったり、
作品に近づいたり、
首を縦や横に振ったりする反応も、
感想だと思っています。
作家の在廊について
ー作家は、生きていたら個展期間中は在廊するべきだと思いますか?
ー 在廊の有無や日時は、展示をする画廊のオーナーと相談して決めています。
在廊すると、様々な人たちが、作品との間を行き交うのを肌で感じることができます。
また、作品を求めた方へ、顔を見て挨拶ができることは嬉しいことです。
作家在廊の有無が、展示に影響するかどうかは、作家や作品、画廊によって様々です。
多すぎる案内キャプションと一緒で、
「作家が居ないほうが鑑賞や購入の判断ができる。」
…という方もいるかもしれません。
ー「これは感想でなく評価だ」と判断できる一番わかりやすいものは何だと思いますか?
ー難しいですね。
いちばんシンプルでわかりやすい評価のひとつとしては、作品が売れること、でしょうか。
個展期間中は「感想」と「評価」が混じりあうことはほとんどありません。
言葉で評価をすることって、それを生業にしている人でない限り、簡単にできないものだと思っています。
仕事にしている人なら猶更、いきなり目の前で話し出す人はいませんし。
作家は自分の作品の型(スタイル)ができるまで、膨大な時間をかけて作品を生み出している。
作品を生み出していく中で、評価を受ける機会は、限られてくると思います。
自分の「つくりたい」という声を聞いてあげて!
ー作品を見に来る人のなかには、厳しい、意地悪な物言いをする人がいるのでは?
ー厳しいというのは、意地悪とは違います。
納得できなかった物事は記録しておいて、次の個展までに内省しておく。
きちんとした評価なり感想を交わした方とは、再会する可能性が高いからです。
でも、まずは自分の
「これをつくりたい!」
という声を聞いてあげることが、一番大切な気がします。
作家は自分の「つくりたい」という気持ちを掬いあげながら、作品を作っていくものだと思っています。
最初の質問に対しての答えで、評価を「聴く。」「聴かない。」の両方するように心がけているというのは、こういう理由からです。
大抵の人は、作品と、見ている自分自身と対話してその場を出ていくので、静かです。
コンセプトや技法の話も、学校の授業課題発表でもない限り、聞いてくる人は少ないです。
最近は、一方的に技法や自分の好きな作家、専門的な用語をあげて、こちらがおどおどするを見て帰っていく人(売れない作家に何を言っても許されるとでも思っているのか?)という人は減りました。
ーなぜ減ったと思いますか?
ーこちらも相手を鑑賞している、から?
画廊やギャラリーを初めて訪ねる方はこちら
◆画廊・ギャラリーめぐり 「その入りづらい理由とは」
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須藤萌子の銅版画、ドローイング作品を紹介するサイトです。
こちらもご覧ください。
https://sudohoko2016.wixsite.com/sudohoko
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